大臨技臨床化学部会 施設間差是正研究会(6/7) |
臨床化学検査の施設間差是正の現状や、何に合わせて施設間差是正を行うべきかについて述べて参りましたが今回はいかに合わせるかについて述べます。
臨床化学検査項目で標準物質の存在しない酵素測定項目についての具体的な合わせ方に関して、我々施設間差是正研究会では、完璧を求めずに現実的なアプローチを採る事としました。即ち、以下の原則に従い、出来得る限り早期に達成します。
■ 施設間差是正に対する4つの原則 ■
- JSCC常用基準法を共通の物差しとする。
- JSCC常用基準法への変換法は限定しない。
- 日常法を変更しなくても良い。
- 完璧な一致を求めず、施設間の測定値が変動係数10%以内となることを目標とする。
すべての酵素項目に関しては物差しとなる標準法(JSCC勧告法)が公表されていないので、AST (GOT)、ALT (GOT)、CK を例に取れると・・・
■ AST、ALT、CK の合わせ方 ■
- JSCC勧告法−常用基準法測定値の値付けがなされた管理血清を一次校正に用る。
(日常法は勧告法と同一原理であれば良く、日常法の校正は一次校正を継承した日常ファクターまたは、二次キャリブレーターのいずれを用いても良い。)- 各施設で実測K値を求め、JSCCに準じた試薬を日常法に用いる。
- 信頼性のある補正係数(施設使用の試薬・機器でのJSCC常用基準法測定値への補正)があれば実測Kに補正係数を乗じた個別ファクターで日常法を行う。
残念ながら現在のところ、日常試薬を変更せずに合わせられる項目は上記3項目です。しかし、JSCCに準じた試薬を用いれば他の項目 ALP、LD、γ-GTP でも上記3項目同様合わす事が可能です。
内容に関しての質問、意見等ありましたら、下記まで連絡下さい。 大阪府臨床衛生検査技師会 化学検査部会・施設間差是正研究会 松下記念病院 中央臨床検査部 中島 康仁(byq04647@nifty.ne.jp) |