大臨技臨床化学部会 施設間差是正研究会(7/7) |
現在、酵素活性測定の基準としてJSCC常用基準法に合意されつつあります。
当初酵素の標準物がなく普及が遅れていましたが、最近、標準物に常用酵素標準物(ERM)、市販各キットに検量用ERMを提示するというJSCC標準化対応法というシステムが出来、標準化への環境は整いつつあります。
この数年、AST、ALT のようにすでに施設間差が解消しつつある項目もありますが、LD や ALP などのようになかなかすすまない項目もあります。この進まない項目は基準範囲の大幅な変更が必要な項目です。なぜ進まないかは臨床の合意を得られないのが理由と言われます。しかし、われわれのアンケート調査によれば測定法の選択や、試薬の変更などはほとんど検査サイドまかせられております。また、すでに変更した施設では、クレームはなかったと声もよく聞きます。
標準化があまり進まないのは検査サイドの問題ではないでしょうか。施設間差是正を行う意義をあまり認めていない、または現状に対する改善意欲、パワーの不足かも知れません。
確かに現状を変えて行くことはパワーを要します。診療、施設の責任者などへの説明と了解、諸手続きのための膨大な作業量と費用を考えれば、意欲が薄れて行くのは良くわかります。まして、この数年間で検査室のブランチ化を初めとする外的要因により、経済的に厳しい現実に接し、今日のことで精一杯で、明日のことは考えられないとの声も聞きます。
私どもはこのような現実を察しているからこそ、施設間で連携して組織的にすすめて行く必要を感じ活動を継続してきました。
診療の現場では臨床検査データは私どもの認識よりもはるかに重用され、駆使されていますが、その質と限界は案外知られないまま使われてます。
間もなく電子カルテでの個別データ蓄積が始まり、インターネットを介して時間、空間を越えた情報の利用が普通に行われる時期が迫っており、検査データの施設間互換は必須となります。
私どもはこのあたりのことを整理し、方針を定めて積極的に関与してゆく必要があります。この活動は技師が、診療、経営サイドや様々な組織と関わり合って検査サイドを成長させる機会とも言えます。
内容に関しての質問、意見等ありましたら、下記まで連絡下さい。 大阪府臨床衛生検査技師会 化学検査部会・施設間差是正研究会 松下記念病院 中央臨床検査部 中島 康仁(byq04647@nifty.ne.jp) |