大臨技臨床化学部会 施設間差是正研究会(4/7) |
酵素は一般に、蛋白量ではなく活性値が測定されていますが、活性値は測定条件によって変化するので、それが施設間差を引き起こす主因となっています。そこで、日本臨床化学会(JSCC)では、共通の「ものさし」となる測定法(勧告法)を提案し、勧告法によって得られる活性値に合わせるよう呼びかけています。
その測定条件は、
となっており、これは、国際生化学連合(IUB)や各国臨床化学会の共通の考え方で、JSCCでは日本独自の考えとして(4)も加えて設定しています。
- できるだけ最大活性で測定できるように基質濃度、pH、補酵素などの濃度を設定すること
- 初速度法で測定すること
- 温度は30℃とすること
- 反応経過が明確にできること
- できるだけ各アイソザイムを同等に測定できること
しかしその後、日常検査のほとんどが 37 ℃で測定されていることから、 1992 年には勧告法の温度のみを 37 ℃とした方法を常用基準法とし、実際には常用基準法を共通の「ものさし」とするよう呼びかけています。
このように、常用基準法は日常法ではなく、その内容には細かな規定がなされ、測定はJSCC機器委員会が定めた厳密な条件を充たした分光光度計を用いて用手法で実施されるもので、酵素標品の値づけ、日常法の互換性評価などに用いられる方法です。
現在までに勧告された常用基準法は、AST(GOT)、ALT(GPT)、CK(CPK)、LD(LDH)、ALP、GGT(γGTP)の 6 項目です。
なお、勧告法の詳細な内容は、臨床化学・第 18 巻 第 4 号・第 5 号( 1989 )を参照してください。
内容に関しての質問、意見等ありましたら、下記まで連絡下さい。 大阪府臨床衛生検査技師会 化学検査部会・施設間差是正研究会 松下記念病院 中央臨床検査部 中島 康仁(byq04647@nifty.ne.jp) |