大臨技臨床化学部会 施設間差是正研究会(3/7) |
日本臨床化学会(JSCC)酵素委員会は、かって試薬メーカーに対して試薬の組成・濃度がJSCC勧告法(常用基準法)と同じであれば「JSCC準拠試薬」という表現を使ってもよいとしました。準拠試薬を用い、装置の誤差を実測ファクターで補正する方法は、勧告法の活性値を日常値へ伝達する有用な手段の一つと判断したためです。しかし、この結果“「準拠試薬」を使いさえすれば標準化できる”という誤解が生じてきました。
本来、標準化とは勧告法での値が正しく伝達されるシステム(レファレンスシステム)を介して行われるべきもので、試薬組成の統一に限ったことではありません。常用基準法と異なる試薬内容の測定法であっても、酵素標準物質(ERM)を介して常用基準法の活性値が正しく伝達性(トランスファビリティ)されるなら、その測定値も常用基準法と同じ水準としました。そこでJSCCはこのような常用基準法の活性値が正しく伝達される測定法を「JSCC標準化対応法」と扱うとしました。
JSCCではERM作製を検討中です。ERMが完成すれば、試薬メーカーは市販試薬のキヤリブレーターとして、ERMを介して常用基準法の活性値が伝達できます。そうなると酵素項目のレファレンスシステムが実現します。
本内容は、医学検査 第45巻第8号巻末“「JSCC準拠試薬」という表現が適切でないことは分かっている・・・”(浜松医大 菅野 剛史 教授対談)を参考にしました。
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