学会・論文発表に必要な統計の基礎知識(4/9) |
パラメトリック法 | ノンパラメトリック法 | |
尺度水準 | 間隔・比例尺度 | 名義・順列尺度 |
対象の母数 | 連続量、定量値 平均値、分散、標準偏差 Pearson's積率相関関数 |
離散量半定量値、定性値 中央値など、散布図 Sperman's順位相関関数 |
母集団分布図 誤差分布 |
正規分布 正規分布に関する手法 |
問わない 分布に関わらない手法 |
標本サイズ 計算量 |
小さすぎはいけない 多い |
問わない 小さい |
必要数表 | Z、t、F 表など一般的によく利用 (t、F 検定など) |
特殊な数表が多く、小標本に限定される。 (マンウィットニーのU検定など) |
正規性が成立する場合、Student t 検定を選択し、成立しない場合は Wilcoxon 順位和検定(Mann-Whitney検定)を実施する。
おおよその判断基準としては、歪度(skewness)の絶対値が 0.5 を越えておらず、尖度(kurtosis)が 2.5〜3.5 の間に入っていれば正規分布とみなしてよい。
質問:図1の場合、Student t 検定を行い、正常群とそれ以外の4群についてそれぞれ有意差を求めて報告した。これは正しいか?
答え:否。2群の比較を多群についても同じように繰り返してはならない。検定を幾度となく繰り返す場合、設定した有意水準を低くしなければならないから。このことを“検定の多重性”という。
多重比較法 | 制限条件 | 検出力 | |
サンプル数 | 分布 | ||
Fisher's PLSD | 各群の数は等しい | 正規分布等分散 | 優れる |
Scheffe's | なし | なし | 劣る |
Bonferroni/Dunn | 各群の数は等しい | 正規分布等分散 | 比較的優れる |
アドバイス:Scheffe's を使えば、サンプル数も分布制限もない。
大阪府立母子保健総合医療センター 検査科 宮野 章(miyano@mch.pref.osaka.jp) |