大臨技 国際貢献専門委員会
2006年2月5日

    「仏語圏アフリカ臨床検査技術コース」準備研修    最終報告書
                                              JICA大阪国際センター



JICAは、2006年1月24日〜2月7日の期間、2006年8月下旬開始予定である仏語圏アフリカ臨床検査技術コース(以下コース)の研修カリキュラム設定に係る協議のため、仏語圏西アフリカ諸国6ヶ国関係者(以下ミッションとする)を日本に招聘した。
ミッションは、滞在中、東京、横浜、大阪において、JICA東京が実施している「臨床検査技術U」研修員との情報・意見交換、外務省表敬、帝京大学・大阪大学等複数の関連施設の視察を踏まえた上で、JICA、財団法人国際医療技術交流財団及びコースの実施機関である近畿臨床検査技師会と研修カリキュラム(案)の策定、募集要項(案)に係る協議を実施した。
主な協議結果は以下のとおり。

1 .コースの目的
コースの目的は、次の内容とする。
(1)研修対象国において最も頻繁に見られ、かつ重要な疾病である微生物を原因とする髄膜炎、腸管感染症、尿路感染症及び生殖器感染症の診断を目的とした、総合病院における微生物検査技術(狭義の知識・技術のみならず、データの臨床応用、院内のチームワーク体制、試薬・機材の管理・調達等のソフト面を含む)を習得する。
(2)アクションプラン作成を通じ、前項で習得した技術・知識を母国で活用するための方針を設定する(AnnexV参照)。
*習得した技術・知識の普及については8.を参照のこと。

2 .対象疾病及びその検査方法
(1) 対象疾病について
細菌性由来の疾病で、流行性等の観点から、本コースで対象とすべき疾病については、次のものとする。最終的には後述7.の日本側調査団の現地調査に基づき決定する。
1) 髄膜炎:髄膜炎菌、肺炎球菌、Haemophilus
2) 腸管感染症:病原性大腸菌、赤痢菌、Vibrio spp.,Salmonella spp. 等
3) 尿路感染症:大腸菌、腸球菌等
4) 生殖器感染症:淋菌、連鎖球菌、Candida spp.、Gardnerella vaginalis等
(2) 研修検査方法(案)について
前項(1)の疾病に関し、想定される検査方法の研修について協議した。協議結果は次のとおり。研修成果が高い方法、即ち対象国で実際に活用される方法を採用するために、現地の技術や医療体制を考慮し、最終的には後述7.の日本側調査団の現地調査に基づき決定する。
・直接検査:検体の処理と標本作製、染色と鏡検、代表的な感染症の起因菌の推定、
および薬剤の選択
・分離同定検査:必要な培地の選択と培養条件、集落の観察、細菌の形態観察および
生化学的性状試験、
・薬剤感受性検査
・微生物検査室運営・管理法および検査データの臨床応用とチーム医療体制

3 .研修カリキュラム案について
クエスチョネアの回答に基づき、カリキュラム案に係る情報・意見交換を行い、第一案を設定した。設定した案については、別添2.の募集要項(案)のAnnexWに掲載した。
なお、カリキュラムの詳細確定については、後述7.の日本側調査団の現地調査に基づき決定する。

4 .研修対象者案について
研修カリキュラムに対応した医療施設より研修員を選択する。セネガル、ニジェール、ブルキナファソ、マリにおいては州病院、ギニア、ベニンにおいては、国立病院または州病院を対象とする。
本研修の効果的な運営のため、各国とも研修内容に沿った医療施設を選択することとする。
帰国後の研修内容の活用に寄与する選択とするため、もし可能ならば同一病院から2名の研修員を選択する。

5. 募集要項(案)について
コースの目的、対象疾病とその検査方法、およびカリキュラムに係る協議結果を反映させた募集要項(案)を別添2に掲載した。
募集要項(案)については、JICA内で最終確認した後、2006年3月1日頃、関連のJICA事務所、または日本大使館を経由し、対象6ヶ国に電子版で配布する。
今回招聘された各対象国関係者は、募集要項入手後、速やかに本コース参加対象者の募集・人選を行えるよう、帰国後必要に応じて、関係機関に募集要項(案)について説明することで合意した。
なお、後述7.の日本側調査団の現地調査時に、各国関係者に募集・人選状況の確認を行う予定である。

6.今回の訪日に確認出来なかった事項に係る情報提供について(重要)
今回の訪日で不明であった事項(別添3.)については、2006年3月15日までに、関連のJICA事務所、日本大使館に提出する。
本情報は、後述7.の日本側調査団の現地調査の内容設定、研修カリキュラムの最終確定のために極めて重要であるので、遅延なく提出するよう留意する。

7.日本側調査団の現地調査団派遣について
より成果の高い研修カリキュラムの詳細設定のための情報収集及びコース参加者の募集・人選状況の確認を目的として現地調査団派遣を予定している。
現地調査においては、関連施設の視察、関係者へのインタビューを行うことを予定しており、今回西アフリカ6ヶ国の参加者は必要に応じて調査に関連する情報提供を行うことを了解した。

8.本コースの中長期的な展望
コースの直接的な目的の枠外の中長期的な目的として、「研修成果の国内への還元(=普及)のため、各国の帰国研修員がコアとなり、自国において他の臨床検査技師等を指導できるようになる」こと、が挙げられる。
これにより、将来的に対象国における効率的・効果的な臨床検査技師の育成や現職教育に係る体制の強化、ひいては疾病の早期発見・予防の強化を通じた疾病の軽減を目指すことになる。これに関連し、第一回目(2006年度)の研修後期にアクションプランの策定(別添2.の募集要項参照)を通じて議論し、また、在外事務所とも研修成果の普及について検討する。


今回6ヶ国参加者に帰国後、日本に送付を依頼した資料一覧
Benin
Brukinafaso
Guinea
Mali
Niger
Senegal

保健省の組織図

技師養成校の1学年の生徒数(2005年度)

技師養成校のカリキュラム(TSLコース)
TL、TSL(または同等の検査室勤務者)の人材統計

病院勤務技師の卒後教育プログラム一覧(2005年度)

地域ごとの病院施設数統計
国立病院と州病院への援助団体の病院施設ごとの支援状況一覧(2005年度)
                                              

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