学会インプレッション
〜第17回 日本臨床微生物学会総会 参加レポート(1)〜
天理よろづ相談所病院 臨床病理部感染症検査室 中村彰宏
第17回日本臨床微生物学会は2006年1月28日(土)〜29日(日)の二日間にわたりパシフィコ横浜にて開催されました。テーマは「感染症のグローバルコミュニケーション」とされ,国際的な感染症の内容も含んだ内容豊富な学会でした。特に,初日の特別講演「感染症制圧のための国際貢献」では近年話題となっているトリインフルエンザやSARSについて大変興味深い講演を拝聴させていただきました。その他にも,シンポジウムでは「医療の進歩と今後の微生物検査に求められるもの」,「包括医療に対する微生物検査室の取り組み」,「ICTによる診療科横断型の介入効果」の3題が講じられ,その中で迅速診断法がいかに重要であるかを再認識しました。現在の感染症検査において一番安価で迅速性に優れている塗抹検査(グラム染色)の充実,標本より取得できる情報を最大限まで得ること,また近年劇的に進歩しつつある核酸診断法の導入,特にリアルタイムPCRによるMultiplex-PCRについて大変興味を持ちました。当院では,昨年よりリアルタイムPCRをマイコプラズマ診断に導入しており,本学会でも私は「喀痰グラム染色より非定型病原体を予測しReal-time
PCRで45分以内で診断しえた成人マイコプラズマ肺炎の一症例」を一般演題で発表させていただきましたが,Multiplex-PCRは今後の課題であると考えています。またPK/PD理論に基づく適正治療に関しては当院では独自のPK/PDブレークポイントを導入しているが,本学会ではいろんな場所で取り上げられておりPK/PD理論の重要性を再認識しました。
今回私にとって本学会は初陣となったのですが演題数の多さ(約200題と聞きました),特別講演・シンポジウム・ワークショップの大変幅広い領域の講演に大変驚き,改めて微生物検査技師の幅広い知識および技術の必要性を自覚しました。これからの感染症検査の進歩に貢献できるよう日々鍛錬していきたい。
〜第17回 日本臨床微生物学会総会 参加レポート(2)〜
八尾徳洲会総合病院 中央検査室 吉川 綾子
2006年1月28日(土)29日(日)にパシフィコ横浜にて開催された臨床微生物学会に参加してきました。朝7時前に新幹線に乗り込み会場へ到着。午前中はポスターを見て回りランチョンセミナー「CDCガイドラインの嘘?ほんと?」を聴講してきました。山中先生,浅利先生,田中先生,満田先生の楽しく熱い講演に弁当があたらなかったことも仕方がないと諦めれるほど・・・日頃困っている採血のマニュアルや手袋の問題など考えさせられました。午後から12企画されているワークショップを見て周り抗酸菌,血液培養,TDM,抗真菌剤,多剤耐性緑膿菌とその他の耐性菌,効率的検査法の構築,新人教育プログラム,顕微鏡供覧やインフルエンザキットなど多岐にわたり興味深く時間が足りないくらいでした。夕方はシンポジウム「包括医療に対する微生物検査の取り組み」を聴講しました。DPCに対抗し感染症検査の現状や今後の方向性,どこまで迅速化や省コスト化ができるかなど身の引き締まる講演で,検査体系の再構築を深く考えさせられDPCに向けて必要とされる微生物検査室となれるよう対策を考えたいと思いました。
シンポジウムは他に2題あり「医療の進歩と今後の微生物検査に求められるもの」「ICTによる診療科横断型の介入効果」が企画されていました。感染制御として診療に貢献し互いに協力し合い,見えない労力が正当に評価され理解されるか・・・もっと勉強し適切なアドバイスや情報の共有化,アウトブレイクの阻止など役に立てるよう頑張ろうと身が引き締まりました。
今回一般演題数や参加人数が過去最多で,熱気のある実りある学会に参加でき,モチベーションが高まりこれからも頑張っていきたいと思います。
夜は横浜と言えば中華街!ということで行ってきました。大通りの大きな店はハトバスツアー客用らしく(地元の人が言ってました)細い通りの小さな店が美味しいらしいです。三日居れば"はまっこ"になれると気の良い地元の人たちが教えてくれました。これも学会参加の楽しみですね?!