〜Middlebrook培地〜

大阪市立大学医学部附属病院 中家 清隆


【目的】
Mycobacterium tuberculosisおよびMycobacterium spp.の分離培地


Middlebrook 7H9 Broth(液体培地)

【組成】

(基礎培地)

硫酸アンモニウム 0.5g
リン酸2水素カリウム 1.0g
リン酸1水素ナトリウム 2.5g
クエン酸ナトリウム 0.1g
グルタミン酸ナトリウム 0.5g
硫酸マグネシウム 0.05g
塩化カルシウム 0.5mg
硫酸亜鉛・7H2O 1.0mg
硫酸銅・5H2O 1.0mg
クエン酸鉄アンモニウム 40.0mg
ピリドキシン 1.0mg
ビオチン 0.5mg
グリセリン 2ml
ブドウ糖 2g
精製水 900ml


(ADC補助液)

アルブミンフラクションV,ウシ 5.0g
ブドウ糖 2.0g
カタラーゼ 3.0mg
塩化ナトリウム 0.85g



【原理】

 マイコバクテリアの発育に必須の多種類の無機塩を含み,クエン酸塩はクエン酸として溶液中のある無機陽イオンを保持する。またADC中のアルブミンは目的菌に毒性を示す遊離脂肪酸に結合して菌を保護する。カタラーゼは過酸化物の分解,ブドウ糖はエネルギー源,塩化ナトリウムは浸透圧の維持,グリセロールは発育促進を促します。


【使用法】

 前処理した検体を接種し,二酸化炭素濃度の高い好気性環境において35℃前後で8週間まで培養し,5〜7日およびその後は週一回 観察する


【特徴】

 広く用いられている液体培地で,保存株の継代,薬剤感受性試験,諸種同定試験の基礎培地のほか,その用途は広い。均等な培養菌を得る事ができる。MGITやMB/BacTにも用いられている。


Middlebrook 7H10 (寒天培地)

【組成】

(基礎培地)

硫酸アンモニウム 0.5g
リン酸2水素カリウム 1.5g
リン酸1水素ナトリウム 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.4g
L−グルタミン酸 0.5g
硫酸マグネシウム・7H2O 25mg
塩化カルシウム 0.5mg
硫酸亜鉛・7H2O 1.0mg
硫酸銅・5H2O 1.0mg
クエン酸鉄アンモニウム 40mg
ピリドキシン塩酸塩 1.0mg
ビオチン 0.5mg
マラカイト緑 0.25mg
寒天 13.5mg
グリセリン 5ml
精製水 900ml


(OADC補助液)

オレイン酸 50mg
アルブミンフラクションV,ウシ 5.0g
ブドウ糖 2.0g
カタラーゼ 4.0mg
塩化ナトリウム 0.85g
精製水 100ml
グリセリン 5.0ml



【原理】

 マイコバクテリアの発育に必須の多種類の無機塩を含み,クエン酸塩はクエン酸として溶液中のある無機陽イオンを保持します。またOADC中のアルブミンは目的菌に毒性を示す遊離脂肪酸に結合して菌を保護する。カタラーゼは過酸化物の分解,ブドウ糖はエネルギー源,塩化ナトリウムは浸透圧の維持,グリセロールは発育促進を促します。オレイン酸は他の長鎖脂肪酸と同様に結核菌に利用されてその代謝に重要な役割を果たす。マラカイト緑は他の最近を部分的に抑制する。


【使用法】
 前処理した検体を接種し,二酸化炭素濃度の高い好気性環境において35℃前後で8週間まで培養し,5〜7日およびその後は週一回 観察する


Middlebrook 7H11(寒天培地)

【組成】

(基礎培地)

カゼインのパンクレアチン消化物 1.0g
硫酸アンモニウム 0.5g
リン酸2水素カリウム 1.5g
リン酸1水素ナトリウム 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.4g
L−グルタミン酸 0.5g
硫酸マグネシウム・7H2O 50mg
塩化カルシウム 0.5mg
硫酸亜鉛・7H2O 1.0mg
硫酸銅・5H2O 1.0mg
クエン酸鉄アンモニウム 40mg
ピリドキシン塩酸塩 1.0mg
ビオチン 0.5mg
マラカイト緑 0.25mg
寒天 13.5mg
グルタミン酸ナトリウム 0.5g
精製水 900ml


(OADC補助液)

オレイン酸 50mg
アルブミンフラクションV,ウシ 5.0g
ブドウ糖 2.0g
カタラーゼ 4.0mg
塩化ナトリウム 0.85g
精製水 100ml
グリセリン 5.0ml



【原理】

 マイコバクテリアの発育に必須の多種類の無機塩を含み,クエン酸塩はクエン酸として溶液中のある無機陽イオンを保持します。またOADC中のアルブミンは目的菌に毒性を示す遊離脂肪酸に結合して菌を保護する。カタラーゼは過酸化物の分解,ブドウ糖はエネルギー源,塩化ナトリウムは浸透圧の維持,グリセロールは発育促進を促します。オレイン酸は他の長鎖脂肪酸と同様に結核菌に利用されてその代謝に重要な役割を果たす。マラカイト緑は他の最近を部分的に抑制する。カゼインのパンクレアチン消化物は発育のための窒素源となるとともに,その他の発育促進因子を含む。


【使用法】

 前処理した検体を接種し,二酸化炭素濃度の高い好気性環境において35℃前後で6週間まで培養し,5〜7日およびその後は週一回 観察する


【概要】

 抗酸菌の培養には色々ありますが,初期には小川培地のような卵を基礎にした培地を用いていました。DubosとMiddlebrookは結核菌を発育させる一方で毒性からの保護のためにオレイン酸やアルブミンを添加した培地を研究し,その後CohnとMiddlebrookはこれらを含む組成を7H10と名づけました。またCohnらは通常用いられる培地でほとんどあるいは全く発育しないMycobacterium tuberculosisを発育させるために,カゼインのパンクレアチン消化物を加えた7H11寒天培地をつくりました。また7H11選択寒天培地もあり,通常の7H11寒天にカルベニシリン,ポリミキシンB,アンフォテンシンB,乳酸トリメトプリムなどが加えられ,その他の細菌を抑制しています。


(参考文献)

新結核菌検査指針2000:財団法人結核予防会
BD BBL培地マニュアル:日本ベクトンディッキンソン株式会社


菌のお墓・菌塚を御存知ですか?

 大和化成株式会社笠坊武夫によって建立されました。'菌塚'で検索すればホームページで場所も確認できます。私たちが毎日かわいがっている菌の供養に,春の暖かな一日に出かけてみてはいかがですか?(花粉症の人は要注意地帯かもしれません)

曼殊院門跡 
歴史的風土特別保存地区

所在地  
京都市左京区一乗寺竹の内町 42