〜トリプチケースソイ培地〜(Tryputicase Soy)
市立豊中病院 上田 恒平
【使用目的】
臨床および非臨床の種々の検体からの一般細菌および栄養要求の厳しい菌の分離および培養に用いられ,無添加の状態あるいは血液寒天培地の基礎培地として広く用いられている。
【原理】
カゼインおよび大豆ペプトンの組み合わせは有機窒素,特にアミノ酸および長鎖ペプチドの栄養源となり,培地は豊富な高栄養を含む。塩化ナトリウムは浸透圧を保持する。
【組成(精製水1lあたり)】
=寒天培地=
カゼインのパンクレアチン消化物 15.0g
大豆のパパイン消化物 5.0g
塩化ナトリウム 5.0g
寒天 15.0g
pH=7.3±0.2
=液体培地=
カゼインのパンクレアチン消化物 17.0g
大豆のパパイン消化物 3.0g
塩化ナトリウム 2.5g
リン酸一水素カリウム 2.5g
ブドウ糖 2.5g
pH=7.3±0.2
【特徴】
・ 菌株の保存,平板菌数計算,種々の検体からの細菌の分離および血液寒天培地の基礎培地として,多くの目的に用いられている。
・ 嫌気性菌用培地ではないが,嫌気性菌も好気性菌と同様に発育する。
・ X因子・V因子が含まれていないためにHaemophilus属の分離株によるこれら因子の要求性を調べるのに有用である。
【文献】
坂崎利一 監修;BBL培地マニュアル,257-264,1995