

〜GAM半流動寒天培地〜
大阪府済生会吹田病院 井上 伸
GAM半流動寒天培地
岐阜大学で鈴木らによって,Bacteroides属やPeptostreptococcus属などの広範囲にわたる嫌気生菌の発育に適するために研究された培地である。

各成分を加熱して精製水に溶かし,pH修正後,長試験管に分注,121℃・15分間加熱滅菌して,高層に固める。
特徴
本培地に含まれる動物性および植物性の3種類のペプトン,ブドウ糖および酵母,肉,肝エキスは窒素源,エネルギー源およびビタミン源にて,高栄養素からなる基礎培地を構成し,栄養要求の厳しい嫌気生菌が発育する条件を満たし,かつ血清消化物中に含まれるヘミンは発育促進因子として重要である。また,チオグリコール酸は偏性嫌気性菌の発育に必要な環境を作っている。
使用法
高層半流動寒天培地のため,好気的環境化の培養で嫌気性菌の発育が可能で,臨床材料からの菌分離,増菌および菌株保存用培地とし用いられる。
臨床材料からの菌分離には,本培地を使用直前に沸騰水中にて10分間煮沸後,水冷して使用する。検査材料は毛細管ピペットにて空気を入れないように注意深く接種するが,この時,試験管底に触れないようにする。培養後菌は半流動培地に集落を形成するので,毛細管ピペットにてその集落を吸い取り,新たな本培地や嫌気生菌用平板培地に純培養する。
B. fragilisやC. perfringensのように嫌気性菌の中には24時間の培養で十分発育する菌種がかなりあり,これらの菌種が重症感染症患者の検査材料より検出されることは比較的多いが,菌陰性とするには7日間培養後に判定すべきとされる。
菌株保存に用いるには,培地分注前に試験管に0.1gの炭酸カルシュウムを入れることが大切である。これは細菌のブドウ糖分解により生じた酸を炭酸カルシュウムに吸着させ,細菌への影響を軽減するためである。
偏性嫌気性菌の確認
本培地の深部に発育が見とめられた集落が即,嫌気性菌と断定してはならない。一部のStreptococcusやStaphylococcus属は上部を避け,約1cm下位から発育してくる菌株があるためである。必ず発育してきた菌株は,2枚の平板培地に移植し1枚を嫌気培養,もう一枚を好気(炭酸ガス環境下)培養する。嫌気条件下でのみ発育の認められたものを偏性嫌気生性菌とする。
市販培地
GAM半流動高層培地(ニッスイ)
同等培地:ABCM半流動高層培地(栄研),ブルセラHK半流動高層培地(極東)
【文献】
坂崎利一;新細菌培地学講座,下;355−356,1978.
